公式ブログ

生活経済事犯被害の未然防止対策

2021/05/07

毎週金曜日放送の番組「DIVER」では13時15分頃から
リスナーの皆さんの生活に直結する様々な、安全情報・安心情報を、
滋賀県警察本部の協力でお知らせするコーナー
「安全・安心ほっとインフォメーション」をお届けしています。

 

5月7日の内容は「生活経済事犯被害の未然防止対策」について。

 

Q )毎年5月は「消費者月間」だそうですが、いったいどのようなものか?教えてもらえますか?

 

A )まず「消費者月間」の始まりについてですが、
消費者の利益、権利の保護等や事業者、行政の責務を定めて、
国民の消費生活の安定、向上を目的に定められた消費者保護に関する法律が
昭和43年5月に施行され、その20周年にあたる昭和63年から
毎年5月が「消費者月間」とされています。

 

「消費者月間」には消費者、事業者、行政が一体となって
消費者問題に関する啓発・教育等の各種事業が集中的に行われており今年の統一テーマは、
“消費”で築く新しい日常」になっています。

 

Q )これは新型コロナに関係がありそうですね。詳しく教えてください!

 

A )統一テーマについてですが、昨年、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、
マスクを始めとする生活用品の買い占め、買いだめなどが発生しました。
また個人等による誤った風説や
心理的に不安定な状態となっている消費者に付け込む悪質商法等により、
合理的でない消費行動や新たな消費者被害が発生しています。
このような現状を踏まえ、「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」の消費行動を控え、
自分のことだけでなく社会全体のことを考えた消費行動が求められているところです。

 

そこで、消費者一人一人が「新しい日常」において、より良い消費行動について考え、
こうした社会情勢の変化に適切に対応することができるきっかけとなるように
「“消費”で築く新しい日常」が統一テーマに選ばれています。

 

今回は、その中でも消費者に付け込む悪質商法からの被害防止ということで、
生活経済事犯被害の未然防止対策についてお話ししようと思います。

 

Q )聞きなれない「生活経済事犯被害」という言葉が出てきましたが、
  これは悪質商法とは違うのでしょうか?

 

A )生活経済事犯というのは、偽ブランドなどの知的財産侵害事犯
粗悪な医薬品や産地の偽装などの保健衛生・食の安全に係る事犯、不法投棄などの環境事犯
ヤミ金融事犯など、県民の日常の生活や経済活動を脅かす事犯のことを言います。
もちろん悪質商法も生活経済事犯のひとつであり、
悪質商法とは、一般の消費者を対象に、組織的・反復的に敢行される商取引で、
その商法自体に違法又は不当な手段・方法が組み込まれているもののことを言います。

 

Q )悪質商法も「生活経済事犯被害」の1つという事ですね。
  被害に遭わない為にはどうすればいいのでしょうか?

 

A )悪質商法のなかには大きく2つ、利殖勧誘事犯特定商取引事犯があります。

利殖勧誘事犯というのは、消費者の手持ちのお金を増やしたいという気持ちにつけこんで
株式、社債の販売やファンドやFXへの投資を名目に
「元本保証、絶対に儲かる、あなただけ特別に紹介する」などと言ってお金を集める手口です。
しかし、その多くは当初の約束どおりの運用や配当がなされず、
結果的にお金をだまし取られてしまいます。
警察庁の全国統計では、昨年1月から12月の利殖勧誘事犯の被害相談件数は1806件、
被害総額は4488億6802万円です。

 

Q )誰でも将来に備えてお金を増やしたいという気持ちはありますが、 
  被害額が4488億円だなんて大きすぎて想像がつかないですね。

 

A )みなさん「自分は、投資に回すようなお金はないから被害に遭わない」
とおっしゃる方も多いのですが、多額の資金を持っている人だけが被害に遭うわけではなく、
実際に数万円単位で被害に遭うこともあります。
いままで仮想通貨と呼ばれていた暗号資産やFX、投資信託、イデコやニーサなどの
言葉を耳にしたことがある方も増えてきていると思います。
投資という行為自体は決して悪いものではないのですが、人々の関心を引きやすいことから
悪用されている面もあり、若者から高齢者まで幅広い世代の方が被害に遭う可能性があります。
うまい儲け話ほど注意してご家族や周囲に相談されることが大切です

 

Q )次に特定商取引事犯について教えてください。

 

A )特定商取引事犯というのは、無料点検を装う業者が消費者宅に訪問してきて、
点検結果に嘘をついて不必要な工事をしたり、商品を売りつけたり、
高額な商品を売りつける目的を隠して、消費者を仮設店舗や民家などに集めて
日用品を安く売ったり無料で配ったりした後、
高額の健康器具や健康食品、布団などを売りつけたり、
注文していない商品を送り付けてきて代金を請求するなどが代表的な手口です。
こちらも警察庁の全国統計では、昨年中の被害相談件数は、10016件で、
被害総額は、219億1214万円です。

 

Q )実家で暮らしているおじいさん、おばあさんのところに業者が出入りして
  不必要な商品やサービスを高額で買わせるイメージでしょうか?

 

A )そうですね、昨年の特定商取引事犯で高齢世帯の方からの相談は全体のおよそ4割を
占めている状況で、これら高齢者の方の中には、若いころよりも記憶力や判断力が
低下傾向にある方もおられ、被害そのものに気づかれない方もおられます。
認知症などにより判断力が低下されている方については、家族の方が資産の管理等を
できるように成年後見制度を利用することも考える必要があります。

 

Q )このような消費者をねらった悪徳商法の被害に遭わないためにはどのようにすれば?

 

A )悪質商法は、消費者の不安など心のスキにつけ込んで言葉巧みに不当な営業を行ってきます。
そして多くの場合は、「今だけ特別な条件です。即決してもらえれば格安にします。
特別な条件なので他の人には言わないでください。」などと他の人に相談させず、
すぐに契約を結ばせようとします。
ですから、悪質商法の被害に遭わないためには、自分一人ですぐに契約を決めずに、
他の人にも相談し、よく考えて契約を決めることが大切です。
悪質商法を行う業者は、新型コロナウイルスのように世間で話題になっていることなどを利用したり、
消費者の不安や好奇心を煽って、不当な契約を結ばせようと狙っています。
悪質商法は、高齢者のみが被害に遭いやすいのではなく、若者の被害相談も増えています。
「自分は、大丈夫だろう」と油断せずに、誰もが被害に遭う可能性があるので、
慌てずに冷静な対応をすることが大切です。

 

Q )身近な家族以外には、どんなところに相談すればいいのですか?

 

A )身近なご家族以外にも県や市町村には、消費生活相談窓口がありますし、
最寄りの交番駐在所、警察署でも相談を受け付けています。
また警察の相談窓口は、電話で♯9110をダイヤルすれば、専用電話に繋がります
もちろん、今自宅に業者が押しかけてきて断っても帰らないなど
トラブルになっている場合は、警察に110番通報してください。

 

Q )それでは最後にまとめをお願いします。

 

A )悪質商法を行う業者は、いつ貴方のもとに現れるかわかりません。
そして、貴方の不安を煽ってすぐに不当な契約を結ばせようと狙っています。
誰もが被害に遭う可能性がありますので、契約を結ぶ時は、慌てずに落ちついて
よく考えてから決めるようにしてください。
そして自分だけで急いで契約を決めずに
いろんな人と相談して「おかしいな」と思った時は市町村の消費生活相談窓口や警察に連絡して下さい。

 

これまでの放送はこちら
4月30日放送「山岳遭難防止について」
4月23日放送「ロマンス詐欺にご注意を!」
4月16日放送「サポート詐欺と偽ショッピングサイトにご注意を」
4月9日放送「子どもの安全対策」
4月2日放送「還付金詐欺にご注意を!」